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2006年10月24日 (火)

雑用は誰がする

ずいぶん前に読んだ吉本隆明の『ひきこもり』(大和書房)に、こんなことが書いてあった。

自分の時間をこま切れにされていたら、ひとは何ものにもなることができません。

女の子が育っていく時に一番大きいハンディは「時間を分断されやすい」、つまり「まとまった時間をもちにくい」ということなのではないかと思うのです。

昔、女の子だったときはだいたいがすべて自分の時間だったので、時間をこま切れにされているという感覚はなかったが、主婦になり子どもを持つと、時間はこま切れもいいところだ。

一番の悩みは集中して机に向かうことができないということだ。今だって、これを書いたらミートソースを作るつもりでいる。昼から出かけ、もしかしたら遅くなるかもしれないので、何か作っておくと気持ちが楽なのだ。

心優しいうちの夫は、「何か買ってくればいい」と言う。でもね。はっきりいってうちの経済では、頻繁に買ったもので済ませるわけにはいかないのだよ。家計のやりくりをするために作る。また、帰りの疲れた頭でスーパーに行っても、「何を買ったらいいか」呆然とする。それよりも、家に帰れば夕飯があると思うと、人の話も落ち着いて聞いていられる。仕事が伸びても笑って処理できる。

「主婦の時間はこま切れ」だとつくづく思う。

それでもって「主婦ってなんだろう」と思うのだ。そこで、『主婦論争を読む Ⅰ』(上野千鶴子編)というのを読んでみた。第一次主婦論争で発言した人たちの文書が載せてあるのだが、時代は電気、水道、ガスが普及し、便利な電化製品がでてきた時代で、主婦が昔より時間ができたために出てきた論争のようだ。

確かに、主婦だけやっていたら暇で時間がある。でも、第一論争の頃と主婦の状況はどのくらい変わったのだろうか。時間があるからと働きに出るのはいいが、家事負担はそのまま主婦の仕事として残されている。仕事や勉強をしようにも、時間はいつもこま切れだ。

『主婦論争を読む Ⅰ』で一番笑えた話は、関根久雄の「経営者として自信をもて」だ。つっこみどころ満載で、あの時代でさえ笑えたのではないかと思う。それにしても、現代の男性が物分りのいい顔をしていても、この本の男性著者たちの本音と同じものが脈々と流れているじゃないか疑っている。

男性著者の中では、梅棹忠夫の「妻無用論」と「母という名の切り札」は共感するが、妻が要らないのなら、家族の中で誰が雑用を担ってくれるのか。平等に男女で担うのか。自分はやっているとは書いていなかった。

確かに家事は、水道も電化製品もなかったときに比べ楽になった。今では、全自動洗濯機も、予約炊飯器もあるし、食材も生協から届けてもらっている。それにしてもだ。洗濯は干してたたんでしまうのは人間がやる。生協に注文するのも1週間のメニューを考え記入する。昔の主婦より楽になったが、雑用っていうのは終わりがない。

家事を最小限におさえようとしている私だって、時間はこま切れにされる。家事は機械化されてもなくなるものではない。

専業主婦になり楽をしたくても、お金がなければ働きに出る。自分に目的があれば働きに出る。専業主婦になれない人は確実に多くなっている。

今の若い女性は専業主婦志望が多いという話も聞く。楽な専業主婦になりたかったら相手を選ばないといけない。そうなるとなかなか結婚しない。

「誤まれる女性解放論」で、福田氏は、「女性の不幸や不満を社会問題として解決を求めるのは虚為だ」という。不幸や不平は社会が悪いのではない、あなたの夫選びが悪かったのだ、個人の問題だということだ。

現代の女性はそれがわかってきたから結婚しないのだ。社会や男性の価値観も制度も変わらない。その中で結婚しても不平・不満で毎日暮らすぐらいなら、今より楽な生活をさせてくれるいい相手を探して結婚するか、いなければ一人のほうがいいのだ。夫選びは重要だ。

私も人生やり直しできたら、結婚しないかもしれない。うちの家族はいい人たちだけど、主婦は時間がないということが身にしみているので、私の子孫を残さなくたって人類に何も影響はしないと思っている。でも、考えなしに子どもを作ってしまい。それも男だけしか生まれなかったので、息子たちには女の時間を奪わないように教育していこうと、こき使っている。

人間生きていると雑用がある。それを女性だけに押付けないためには、男も雑用して当たり前という意識を植え付けることなのだ。分担しないといけない。しかし、偉い人たちはそれがすごく嫌だ。このケアの問題はなかなか解決できそうもない。難しい問題だから、「つべこべいわず女性がやるのが伝統だ」と押付けたいのが男性の本音ではないだろうか。

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