キャンセル
昨日の午後の仕事はキャンセルとなったので、病院へ行ってきた。口角が荒れて、口が開きにくいのだ。これは時々なるもの。たいていビタミンBと塗り薬をもらってくる。
「先生、胃が悪いと口角が荒れるというけど、関係あるんですか」と聞く。関係はあるそうだ。胃が悪いと、栄養の吸収が悪くなるのだからと言う。ストレスためないように、よく寝なさいとのことだ。
ギクッである。胃癌検診で胃癌ではないけど、潰瘍の痕のようなものがあるし、「一度胃カメラで検査しよう」と薦められているのに、「暇になったら」と逃げているのだ。だいたい、胃の調子が悪いので胃癌検診をはじめて受けたのだから、胃に優しくしなくてはと思った。
という胃の話ではなく、「キャンセル」の話をするつもりだった。
ヘルパー利用者さんも、いろいろな理由でヘルパーをキャンセルする場合がある。お客や子どもが来ているから、具合が悪くて人と会わないで寝込んでいたい、どこかにお出かけす。それぞれ予定があるのだからいいと思う。
私なんか事務所から家まで5分だし、キャンセルになれば、「キャッホー」と喜んで家に帰り、机に向かう。
でもね。普通はがっかりだ。遠くから家を出てきて事務所についてキャンセルというのも嫌だ。前は、車で40分近くもかかる事業所でヘルパーをしていた。1日の3件の仕事のうち、真ん中の1件がキャンセルになると、家にいったん帰るには遠すぎるので、ドトールとかに入って読書をするとか、本屋に入って本を買ってしまうとか、お金を使ってしまうのだった。(そういう理由もあり、近くに事業所があると知って今のところにうつった。)
前にいたS事業所には、ヘルパーが休憩できる場所がなかったから、外でふらふら時間つぶしをするしかなかった。今のM事業所は、ヘルパーも座れる大きな机に、飲み物も各種用意され、お菓子もなぜかいつもあり、お昼になれば、漬け物名人のヘルパーさんが漬け物を置いてくれ、ケアマネさんがピザを焼いてきてくれたりする溜まり場がある。時間があいた人は、そこでハングルの勉強したり、おしゃべりしたりしている。外で時間つぶしをすることなく、お弁当も食べられて環境はいい。
(前のS事業所の時は、スーパーの駐車場で車の中でお昼を食べた。同じようなことをしている営業の人やタクシーの運転手さんが集まる大きな駐車場があるスーパーが私のお昼場所だった。でも、陽射しの強い日や寒い日は辛いのよ。各車が冷房や暖房をかけるためにエンジンをつけている。これももったいないことで、環境汚染なのだ。それに気持ちがみじめになるよね。「なんで私がこんなことしているんだろう」と思ったもの。だから、今のM事業所は時給安くても居心地がいいのでヘルパーさんは辞めないそうだ。)
(また、前のS事業所は、町の中心部の小さな家やマンションに住む利用者さんが多かった。駐車場はない。会社の車ではなく、自分の車で動くから路上に止めるのが怖くて、有料の駐車場に駐車する。それはもちろん自腹だ。「どこに車をとめてきた」と気遣って駐車代を払ってくれた人が一人いたが、だいたいがヘルパーがどこに車とめたか、あまり気にしない。ここは雪国だから、冬は雪におおわれ路上駐車をするスペースもない。それで駐車代がかかるならと、往復1000円かけてバスででかけた。もちろん交通費はでない。しかし、車ででかけないと、昼やキャンセルの時間を車で過ごすわけにもいかず、どこかの店に入る。たった2件のときなど、交通費と昼代をひけば収入なんて1000円にもならない。登録ヘルパーするなら、家の仕事のあいまにできる近い場所をまわらなければ損なのだった。また、今のM事業所はヘルパーの車が8台あり、自分の車を使わないですむからいい。どうせ登録ヘルパーするなら、時給だけで選ばないで、その事業所の環境と上司の人柄が大事だとつくづく思った。)
しかしね。キャンセルになれば当然その分の時給は1円もでない。今日は4000円は稼ぎたいと、月これくらいは稼ぎたいと予定している人には、キャンセルはがっかりだ。登録ヘルパーはそういう意味で収入が安定しない。とても母子家庭の人が一家を支えていく収入にはならない。片手間の仕事だ(主婦のパートです)と思わないとやっていけない。でも、母子家庭になっても自立できる収入が欲しいと思う。それだけのものがあれば、もっとがんばって私も働くぞ。
このあいだ、先輩のヘルパーさんに「介護福祉士の資格取るんでしょ」と聞かれた。
「介護福祉士の資格取っても待遇は変わらないよね。うちは夫が年寄りだし、自営業だから、私は一家を支えるぐらい稼げるようにならないといけないと思っている。だから、毎日家で夫と同じ仕事して(原稿書き)顔をつき合わせているのも嫌で外に出てみたけど、元の仕事に戻るか、違うことするか考えている」と正直に言った。
また、利用者さんのほうでもキャンセルするなら早めに言って欲しいのだが、直前にキャンセルの電話が来たりする。私は、その家を訪問したら、お嫁さんが来ていて「今日はいいから」と言われ、帰ってきたことがある。こういうのは「まったくもう」である。
すごく難しい利用者さんがキャンセルになると、「よかったじゃない」と喜び合うこともあるが、ヘルパーは軽んじられているという感じがするのだった。
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