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2007年1月19日 (金)

考え方の違いではすまされない

やっと子供たちの冬休みが終わった。北国の冬休みは長い。自由研究もある。千葉で育った私は自由研究は夏休みのものだったのに、ここでは、夏も冬も自由研究とか工作をしなくてはいけない。なんだか冬ぐらいゆっくりさせればいいのにと思うのだった。(親も大変だもの)。

お正月は、わが家のセカンドハウスの山の家へ行けなかったので、冬休みの最後の幾日かを山で過ごしてきた。いつもなら駐車場までは牧場のトラクターで雪かきしてもらい、駐車場からは雪をかきかき、やっと玄関にたどりつくというのに、雪はうっすら白く積もっているだけだった。驚きの冬。村の人はこの夏の冷害や水不足を心配している。「こんなに雪がない冬はいついらいだろう」と考えると、1993年が雪のない冬だったそうだ。そうして、その夏は東北では米が取れず、お店で米が買えなくなった年だった。雪がないのは楽だけど、降る時に降ってくれないと、少し不気味ではある。

と言う話ではなくて、年末から年が明けて、ヘルパーをしていると、お年寄りたちが政府の論調に染まっていることが気になる。いろいろなニュースが流れている中で、自殺や残忍な事件が多くなったのは「今の教育が悪い」「家庭が悪い」「自分たちは苦労した。今の人たちは甘やかされている」「母親は家にいないと駄目だ」などなど、評論家のような言葉を吐いて納得している。

山の家へ帰ると、近所のおじさんが飲みに来る。そのおじさんのことは大好きなのだが、やはり同じことを口にする。山の家にいる間、近くで母親が幼い子供をふたり刺して、たぶん自分も死のうとしたらしいが、死に切れず重態で無理心中ではないかというニュースが流れていた。おじさんにはその事件も、最近世の中が悪くなった例でしかない。でも、私と考え方が違うのは、おじさんはその母親の個人の教育や家庭環境を問題にする。私は母子家庭で働いても人並みに暮らせず夢をもてない現実にためいきをつく。

だから、おじさんに「それは違うよ。母子家庭がちゃんと働いても少しの収入しかない現実があるんだよ」と言いたかったが、黙った。だって、おじさんの娘さんも母子家庭になり、おじさんとおばさんは多大な援助をしているのだ。娘さんもあまり収入の高い仕事はしていないからおじさんの援助がなければ生活できないはずだ。しかし、そんなこと指摘してもお互い暗くなるだけだからやめた。おじさんは、「うちの娘はがんばっている。一家心中するような母親とは違う」と思っていればいいことだ。私は、おじさんの娘も私自身も少しのずれで一家心中を考える母親と同じ場所にいるかもしれないと考える。

ときどき、「なになにが悪い」と言う人たちをうらやましく思う。そう言って安心してしまえるから。そうして政府の行なう「改革」が世の中のためになると思っている。私の方はその「改革」で不安になるというのに。

考え方の違う人たちを説得するのは難しい。お年よりはそういう考えできたのだから。そうして戦争、戦後の苦しい時期を歯を食いしばって生きてきて、貧乏を越えてきた。だから、今の若者や子供がふがいなく思うのだろう。そうして昔の方がいろいろな事件も少なかったと思い込んでいる。でも、実際は殺人事件や少年事件はおじさんが若いころの方が多かったという統計もあるが、お年寄りの美化された記憶を修正するのも酷な話なのかもしれない。

考え方や経験の違いだから仕方ないと思うが、それではすまされない。選挙があるからだ。彼らは真面目に投票に行く。そうして自民党に票を入れるだろう。世の中を良くしたいと思って。お年よりは「戦争だけはだめだ」という人は多い。ひどく馬鹿らしいことだったと思っている人も多い。その思いがあるのに、今の世の中の事件に目を奪われて「若い者はけしからん」という論調に流れている。だいたいがテレビしか観ていないのだから、影響は受けやすい。困ったものだ。今度の選挙だってこういう人たちの気持ちを動かすことができなければ、また自民党が勝つだろう。お年よりは安心したいのだ。今の世の中に。次世代のためというより自分の安心を選ぶという人は多い。政治家もそうだし、そう言う意味で、「自分のことしか考えていない」というのは、若者だけではない、政治家もあらゆる年代も自分が安心ならいい、自分以外の人がいじめられているのは、その人が悪いからと思いたいのだ。安部首相とは違った意味で日本人の倫理感がおかしな方向へいってるのかもしれない。新しいいろいろな人を受け入れられる価値観を模索していかなければいけない。野党はそれを国民にしめすことができない。これでは負けるよ。自民党の価値観に頼りたい人たちを多様性へと持っていかなくては、庶民は自分の首を自分で締めているようなものだ。

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