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2007年9月11日 (火)

NHKスペシャル「コムスン撤退の衝撃」

 昨夜、NHKスペシャルの「コムスン撤退の衝撃 全国に介護難民」を観た。http://www.nhk.or.jp/special/onair/070910.html

 コムスンの夜間介護を担っている20代の男性が紹介されていた。夜間に11件か12件まわるということだった。驚きだ。昼間だって5件もまわれば疲れ切ってしまう。彼も「30代、40代になってもできるかどうかわからない」と言っていた。彼は正社員らしい。月収は22万と言っていた(21万だったか)。ボーナスはない。夜間を担当してくれるヘルパーさんが見つからないとのことだが、夜間やるために見合う金額でもないし、やはり中高年の主婦には体力的に無理だ。

 夜間働く仕事はパン工場やお弁当工場などいろいろあるかもしれないが、ヘルパーはそれらと違う重労働だ。夜間の介護を頼む人は介護度が高い人であるし、介護が30分と短くても内容は盛りだくさん。人間相手なので、何かあって怪我でもさせたら新聞に載る。もちろんおしゃべりも仕事のうち。ヘルパーさんとぐらいしか会話がないので、仕事をこなしながら声かけを一生懸命し、まだいてもらいたいと思う利用者さんに明るく挨拶して振り切って、次の利用者さんのところに移動する。「11件!」 ただただ感心するばかりだ。それにしては給料が安い。

 私も前にいた事業所で夜9時から30分の介護を引き受けたことがある。夜は道が空いているので20分で行けるが、交通費も移動時間の時給はでない。身体介護なので30分800円ぐらいでたが、往復時間も入れると1時間以上になる。雪の日など行きたくなかった。その利用者さんは街の中に住み、近くに住むヘルパーさんも多くいたのだが。誰も30分のために仕事を引き受けなかった。私は、自分が担当したことのない障害の方だったので、失礼だが興味があって引き受けた。もうひとり一緒にやっていた人は人のいい、断れない人だった。でも、その30分だって大変だった。ソファから車椅子に移乗する時、私は腰を痛めてしまった。それからどうも腰は持病として残っている。自分の腰が痛かろうが、利用者さんを落とすわけにはいかない。毎回ふんばって耐えていた。それでも、ベットに利用者さんを入れてお布団をかけてあげて、「おやすみなさい」というと、手を合わせて「ありがとう、また来てね。気をつけて帰ってね」と言われると、疲れも忘れて来てよかったと思うのだ。

 しかし、給料が安いだけでなく、労働がきついので体を壊す人も多い。特に腰痛に悩まされる。私と一緒に入った30代のヘルパーさんも腰をやられ、毎日病院へ通っていた。でも、稼ぎより病院代が高くつくと、ヘルパーをやめた。今は腰は良くなっているそうだが、ヘルパーにもどるつもりはないようだ。体を壊しても、ヘルパーは自己責任だ。雇用保険も入っていないので、ただやめるしかない。

 国は、主婦にヘルパーの資格をたくさんとらせて増やせば、ヘルパーなんて使い捨てでいくらでも確保できると思ったのだろう。しかし、現実は資格を持っていても仕事をしない人は多い。なぜか賃金が安いからだ。コムスンが賃金を安く抑えていたというが、どこでも同じだ。事業所を維持する為には人件費を抑える。コムスンは、それに加え架空請求などの不正がまかり通っていたのだ。

「介護の仕事は意義がある」と言われ、やってみると面白さはあるのだが、賃金の安さと身分の不安定さ、使い捨て、それが現場にいるとよくわかってくるので、なかなか長続きがしない。

 介護職の地位の低さが問題だ。重労働に見合う賃金がなければ仕事にプライドなんて持てない。番組の中でも事業所の管理者のひとりが、「きれいな言葉だけではやっていられない」と言っていた。

 会社で『ホームヘルプ』という雑誌を読んでいたら、コムスンのヘルパーさんたちが関係のない市民から罵声を浴びせられていることが書いていた。なんで日本人ってこうなのだ。ヘルパーさんは不正と関係ないじゃないか。実際にヘルパーがいなければ、高齢化社会が立ちいかなくなる。もっと真剣に考えなくてはいけないのに、国は家族に介護させ、安くても文句を言わない外国人を参入させようとする。家族愛だとか出稼ぎに来る外国人の美談のもとにだ。実際、政治家も行政も、介護は嫁や娘がやるものだと思っているのが本音ではないだろうか。だんだん厳しくなっていく介護保険の利用を見ているヘルパーさんたちと、「介護保険を払っていても、私たちのときはよほどのことがないと使えないんじゃない」かと不安の声も出ている。国は財源がない、保険料が足りないと騒ぐが、無駄遣いしたり、見当違いなものにお金を使ってきたのは国や行政じゃないか。その責任を公務員はとりもしないで、つけを国民にまわす。と怒ってテレビを見ていた。

 

 

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コメント

 DANさんのお弁当日記から、飛んでまいりました。時々、おじゃませてくださいね。

投稿: 下館のおばさん | 2007年9月11日 (火) 14時19分


 どうぞよろしくです。

投稿: meme | 2007年9月11日 (火) 21時53分

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