海辺のレッスン
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海辺のレッスン 著者:ジョーン アンダーソン |
近くの公民館の図書室から頼んでいた『アルジャーノンに花束を』が本館から届いたとの連絡があり、取りに行く。
図書室で他にも借りようかとブラブラしていたら、『海辺のレッスン -92歳の彼女がくれたものー』という本が目に入った。高齢者に弱い私は借りることにする。『アルジャーノン』を読んだあと、『海辺のレッスン』を手に取ると92歳の女性とはジョーン・エリクソンという名前だ。ライフサイクル理論やアイデンティティ理論で有名なErikson・E・Hのパートナーだった。ずいぶん前にエリクソンの『老齢期』を読んだ時に妻との共著だったので、夫婦ともに研究者かと思っていたが、研究者だけではない面白い経歴を持っている人たちらしい。
本の中で、その小さな町の介護施設で心理学の本にはどこにでも名前を見るエリクソンが妻に看取られて静かに死んで行くのが書かれていた。あんなに有名な人がひっそり死んで行く。そうして最後のために家を処分し介護施設に入ることなどに感心していた。
本はひとりの中年女性の自立物語だ。著者はもともとジャーナリストで海辺に家を持ち、1年も仕事をせずに暮らせるということをどうとか言ってはいけない。意味あることは、素直に見ることだという場合もある。
※ここのところ思ったこと。自分が人より恵まれた環境にあることに後ろめたい感情を持つことはないし、自分より恵まれた人と比べる必要もない。もうあと残された時間は多くないのだから、自分のやることをやっていくだけだ。
本に載っているジョーン・エリクソンの顔は皺とシミだらけだが、美しいのがわかる。
著者は、アン・モロウ・リンドバーグの『海からの贈り物』に影響されたらしい。メイ・サートンの『海辺の家』も思い出させる。なんだか海を見たくなった。三陸の海ではなく、広い水平線が見られる海を見たい。
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