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2008年6月 8日 (日)

春子谷地

 ローカルな話題です。鞍掛山に近い「春子谷地」の名が宮沢賢治由来かと思いこんでいましたが、昔話由来だということが『もりおか広報 6月1日号』に書いてありました。メモのため記します。

鞍掛山は、盛岡から見ると岩手山のすそ野のところにあるなだらかな山です。昔、その鞍掛山の南口という場所に、春子という名前の娘が両親と仲良く暮らしていました。

 春子が18歳になったときのことです。ある日、いつも家のまわりにいるはずの春子が突然いなくなりました。お母さんは心配して探しまわりましたが、どこを探しても見つかりません。しかし夕方になると、いつのまにか春子は帰ってきました。どこに行ってきたのか聞いても春子はうつむいてこたえなかったので、そのあとは何も聞きませんでした。

 その日から十日ほどたつと、また春子がいなくなりました。両親はまた心配しましたが、夕方まで待つことにしました。すると夕方になって春子がようやく帰ってきました。今度は春子の腰から足までがびっしょりぬれていたので、お母さんが理由を聞くと、春子は「逢の沢に行って来た」とだけ言いました。逢の沢は鞍掛山の近くにある場所で、そこには沼がありました。

 それ以来、春子はよく家を抜け出すようになりました。また夜には、寝ながら「吉さん、吉さん」と大声で叫ぶこともありました。お母さんはそんな春子が心配で、どうか家を抜け出さないようにと泣きながら話しましたが、春子は言うことをききません。

 じつは「吉さん」というのは逢の沢にある春子谷地の主で、春子はいつの間にか恋をしていたのでした。

 そのうち岩手山に雪が降り、冬が近づいてきました。その晩は空がまっくらになるほどの大嵐でしたが、春子は真夜中に両親のもとをはなれ、恋人の吉さんにさそわれるままに春子谷地のぬまに入ってしまいました。そして春子は、春子谷地の主になってしまったのです。今の春子谷地は、さまざまな植物や動物がくらす、美しい湿原として知られています。(参考:滝沢村教育委員会「たきざわの昔ばなし」)

 なんだかよくある話でした。人間とは違う者や動物に恋する娘の話のもとには何があるのだろうか。昔は、どこの誰とも知らない人に恋して、家を捨て姿を消した娘がいて、お話ができていったのかな。

 春子谷地は、雪の季節に一度クロカンでまわるツァーに参加してみたいと思っていました。そう思って、山の家からクロカンの板も持ってきていたのだけど、なかなか都合があいませんでした。身体を鍛えて、今度の冬には参加しようと考えています。

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