2008年6月 9日 (月)

街のあかり

街のあかり

 息子たちがDVDを借りたいと連れて行ったら、目についた映画。フィンランドの本を読むと、アキ・カウリスマキ監督の話題が出てくる。これはカウリスマキ監督の2006年作品。

 何というか、ひたすら不運な男だ。観るのが飽きるくらいにたんたんと不幸。こういう映画は最後には何か希望があるはずだと思っていると、ない。最後のカットが希望を表現しているとしても「これで終わりですか」と言いたくなる。それでも退屈させないのは、どくとくの映像と音楽のおかげで印象深い映画になっているからかもしれない。この監督の前作2本も不幸な話で、不幸3部作とか言われているらしい。

 息子たちが借りたのは『GOAL』。

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2008年6月 7日 (土)

海を飛ぶ夢

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 『海を飛ぶ夢』はポスターに魅かれて、観てみたいと思っていた。DVDを手にし、ストーリーを読めば、テーマは尊厳死。内容は触れないけれど、俳優がいい。主役ももちろん、脇役の隅まで生きているという感じで、目が離せない。寝た切りの弟の世話をしているお兄さんが、「死ぬということは、もう会えなくなるということなんだよ」と息子に怒鳴っている言葉が耳に残る。

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2008年5月30日 (金)

ニキフォル

ニキフォル 知られざる天才画家の肖像

 DVDで『ニキフォル 知られざる天才画家の肖像』を観た。ニキフォルは、ポーランドのアウトサイダー・アートの画家として有名な人のようだ。何よりもすごいのが、主役の男性画家を演じているのが80歳になる女優だということだ。80歳になってもいい仕事ができるなんてうらやましい。うらやましいといえば、障がいを持ち、自分の仕事場に居座るニキフォルを、初めはうとましく思いながら、世話を焼いてしまう画家が「あんたがうらやましいな」とつぶやく場面がある。心底うらやましいことがわかる。彼には養わなければいけない家族がいるし、世間との付き合いがある。ただただ、絵を描いている。そして絵を惜しげなく売るニキフォル。人生の意味も生活を考えることも何もない。パンを食べて生きていく。ただただ描けばいい、それが凡人にはできない。

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2008年5月25日 (日)

クラッシュ

クラッシュ

 久しぶりに何も予定のない日曜日。次男は金曜日に2泊3日のキャンプから帰ってきて、喘息の発作を起こしたので、サッカーには行けないから朝からの練習はない。だから、今朝は7時半まで寝ていた。私には年に1回あるかないかの寝坊だ。昨日もサッカーはなかったけど、長男が練習試合でお弁当を作らないといけなかった。その長男も雨で練習中止。それではと、午前中から映画鑑賞をする。この間借りてあったのが『クラッシュ』。テーマは、思いっきり人種差別。警官が女性にセクハラする場面では、次男は「こいつ変態なの」と言うが、長男は「日本でもよくあるじゃないか、警察も公務員も先生も、ニュースでやっている」とコメント。でもその警官が自分の命を顧みず女性を助けたり、いろいろな物語が交差するのだけど、誰が悪人で誰が善人だなんて言えなくなる。気の抜けない映画だった。最後に救いは用意されているけど、父の身代りに銃に撃たれた少女の場面では、私たちは叫んでしまう。「なぜこうなるの」と叫んだけど・・・、そこには天使がいたんだ。天使は、小さな女の子でもあり、銃を撃った男の娘だった。もしかしたら、人間は少しづつでも気がついて変われるのかもしれない。でも、正義感のある若い警官が少しの恐れから銃を撃ってしまうのは悲しい。息子たちも彼がどうなっていくのかが気になったらしい。

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2008年3月 4日 (火)

キッチン・ストーリー

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 「旧作半額」という幟を見て、TUTAYAに入り込む。それで、悩みに悩んで何枚かのDVDを借りるが、スゥエーデンとノルウェー製作の『キッチン・ストーリー』が面白かった。

 物語は、1950年代ごろか。第2次大戦の話も出てくる。スェーデンの家政学の調査団が、主婦の台所での行動を調査していた。新製品開発のためである。その調査を次は隣国ノルウェーの独身男性対象に行うことになる。各調査員がそれぞれノルウェーの男性のもとに送られる。主人公は、調査員のフォルケと被験者のイザック。調査のルールは、会話をしてはいけない、仕事を手伝ってはいけない、客観的な観察方法で行われる。ところが、被験者は台所で料理をしない。隠れて寝室で料理する。そういう意地悪はイザックだけでなく、他の被験者のノルウェー男性たちもしているらしい。

 わざと、観察者の前でチョコやお酒を美味しそうに味わったり、天井に穴をあけて、観察者を逆に観察したりのイザックの偏屈な様子が描かれるが、ふとしたことから会話をするようになり、その会話はなくてはならないものになっていく。フォルケはイザックのライフ・ストーリーの聞き役となるのだ。フォルケだけではなく、他の調査員も被験者と仲良くなって酒を飲んだりして、上司にとがめられる。ひとりの調査員は「会話しないで、何がわかるんだ」と仕事を放棄する。

 また、イザックとフォルケが親密になっていく様子を見た、やはり孤独なイザックの友人はフォルケを面白く思わない。彼が上司にちくったのか、フォルケは仕事を首になり、スェーデンに返される。クリスマスを一緒に過ごそうと約束したフォルケは国境を1歩でると、仕事の役目は終わったとノルウェーのイザックの家に向かうのだが・・・。最後は悲しく、でも春は来るというお話だった。

 映画の冒頭、スェーデンの調査団のキャンピング・カーが国境を越えてノルウェーに入る場面がある。スェーデンでは日本と同じ車は左側通行なのに、ノルウェーに入ったとたん右側通行となる。「右側走ると酔ってしまう」というセリフもある。映画の中では、通行を統一しようという話があるということだったが、現在も右と左で違うのだろうか。

 掘り出し物はないか、棚をじっくり見てまわり、やっとカウンターにDVDを持って行くと、カウンターの女の子が「めめさんですよね」と声をかけてくる。何かの確認かと怪訝な顔をすると、「同じクラスのものです」と言う。「ごめんわからない」と正直に言う。私はいつも前の方に座っていて、その周りに座る学生さんは決まっている。その子たちとは挨拶をしたり、試験情報を教えてもらったりするのだが、後ろの方に座っている学生さんは顔を知らないの。しかし、息子の部活の迎えのため、身なりも構わず外に出たのだった。家を出るとき、息子を抜かして夕食を食べた後で、「歯も磨かないけど、誰に会う訳ではないから」と家を出たが、まだ息子の練習が終わらないのでレンタル屋に入り込んだ。春休み、クラスメイトがどこでバイトしているかわからない、きちんとして出かけなくては。

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2008年2月26日 (火)

耳をすませば

耳をすませば DVD 耳をすませば

販売元:ブエナ・ビスタ・ホーム・エンターテイメント
発売日:2002/05/24
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 先週、テレビでジブリ映画『耳をすませば』を息子たちと観た。「なつかしいね」と話す。山の家ではテレビが映らなかったから、図書館からビデオを借りて見ていた。長男は低学年で次男は保育園だった。でも、内容はふたりともけっこう覚えている。ところどころの細かい場面、たとえばドアーフのぜんまい仕掛けの時計の話など忘れている場面も多かったが、主人公たちと同じ中学生になった息子はどんな思いで観ているのだろう。「かっこよすぎるよね」とは言いあったが、そろそろこんな恋でもしているといいのにね。

 私がこの映画をよく覚えているのは、なつかしい東京の京王線沿線の風景、聖蹟桜ヶ丘あたりを思い出すからだ。それから、主人公の家族。お母さんは大学院生か何かをしていて、お父さんは図書館に勤めている。住んでいるのは多摩の団地だ。山の家でこの映画を観たとき、立派な山の家があるのに、本だらけの団地の生活に戻りたいと憧れたのだった。

 そういえば、村の子供たちが修学旅行の感想作文には、「東京は人の住むところではないと思いました。あらためて村の自然の豊かさを感じました」と必ず書かれ、何かの会の時に発表される。その頃の私は「人の住むような場所でないゴミゴミした町」が恋しくてホーム・シックで、そんなおきまりの子供の作文に、「東京にも人の暮らしがあるのよ」とムカついていた。でも結局、そんな作文を書いて村の年寄りを喜ばしていた子供も村を出て、東京やら盛岡へ散らばってしまった。それはそれでどうなるのだろうかと心配で、山の家のある村は、いつでも気がかりだ。

 『耳をすませば』は、私に戻れない土地へのホーム・シックを募らせる映画である。

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ライラの冒険

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著者:フィリップ プルマン
販売元:新潮社
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 日曜日は安比へスキーに行く予定だったが、吹雪になりそうだったので、出かけるのをやめたが、期末試験を終えた息子はどこかへ出かけたそうである。そこで、映画に行くことにする。ちょうど『ライラの冒険・黄金の羅針盤』の先行上映があるから観たいと言う。息子たちは、そのファンタジーをすでに読んでいるそうだ。私はタイトルも知らなかった。

 いつものように、息子たちが映画を見ている間、他の映画を観るか、読書しようかと調べていたら、『ライラの冒険』にニコール・キッドマンが出ていることを知って、一緒に観ることにする。

 長男が、「お母さんと映画観るの久しぶりだね」と喜んでくれる。まだ母と一緒に映画を観たいのかと、こちらが驚く。というか、映画を一緒に観てくれるなんて息子ぐらいだわ。そういえば夫とも映画は行ったことない。東京にいるときは、夫は舞台が好きで演劇とかライブは行ったものだった。私は映画が好きで、結婚したての頃は喧嘩するとアパートを出て、映画がのはしごをして家に帰らなかった。狭いアパートの中、ふたりが同じ部屋でワープロを打っていたから、息が詰まると私が出て行ったのだ。そんなことを思い出したりする。池袋の文芸坐とかなつかしい。オール・ナイト上映なんていうのも観ていた。

 『ライラの冒険』はどうかというと、それなりに面白かったが、原作読んでいないせいか分かりずらいことが多い。あまりに唐突な展開が多いと思う。しかし、まだ観ていない人も多いので、とやかく言いうのはやめよう。ついつい『ロード・オブ・ザ・リング』と比べてしまうが、子供たちはそれなりに楽しんだようだ。しかし、本のほうはまだまだ続くそうだ。この映画の後、ライラがどうなり、ニコール・キッドマン扮する夫人はどうするなどの物語を次男が帰りの車で聞かせてくれたので、続編は観なくてもいいかもしれない。

 映画観て、お昼食べて、「ジュンク堂」でついつい本を買った。買わないと思っていたのだが、欲しい本がそろっている。3人とも本を買ってお財布が空になってしまった。「駐車代残っているだろうか」と心配したら、映画と本屋の駐車サービスで無料だったのでほっとした。まったく安比で散財するぐらい使ってしまったじゃない。でも、なぜかお金を使いたい日というのがあるのだと思う。

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2008年2月20日 (水)

ペドロ・アルモドバル

死ぬまでにしたい10のこと (ヴィレッジブックス)

Book

 

『死ぬまでにしたい10のこと』。タイトルからしてお涙頂戴的な映画かと避けていたが、大学の語学学習室でつい観てしまったら、やはり泣けた。主人公役のサラ・ポリーがいい。なつかしいデボラ・カーが母親役で出ている。

 主人公は不治の病だけれど、最後まで誰にも打ち明けない。悲しいのは彼女が持っている力を誰も気がつかずにいること。いいお母さんとして皆に思い出を残した裏にあるものを映画は見せつつも言葉にしない。「10のこと」は気休めで、本当にしたかったことは隠されたままなのに伝わってくる。

 この映画から、なぜかペドロ・アルモドバル監督の映画が気になってきた。『死ぬまでに』の監督は、イザベル・コヘットだが・・・。アルモドバルは製作総指揮という肩書で名がある。

 それで下記の映画を続けて観た。設定が異様だけど面白い。映画らしい映画。映画を観たという気になる。最近の日本映画は好調らしいけれど、なんだかテレビのドラマの特別版を観ている感じがするのだ。

 

オール・アバウト・マイ・マザー DVD オール・アバウト・マイ・マザー

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2007年12月30日 (日)

パオの物語

 秋にBSでアジア映画の特集をしていたので、何本かビデオに撮った。ビデオに録画しておいても観る暇がない。昨夜は子供たちが観たいテレビもないそうなので、ベトナム映画『パオの物語』  http://www.imageforum.co.jp/pao/  を次男と二人で観る。

 モン族の女性の衣装が美しい。アジアの民族衣装は色も鮮やかでいいですよね。映画の中でも自分で刺繍をほどこしているけれど、だんだんそういう手作業はなくなっていくでしょうね。伝統工芸として残って、一般の人は私のように針を持たない安物のTシャツとジーンズになるのかしら。テレビが観られるようになり、学校へ行かれるようになったら、自分の服を作るより、やりたいことはたくさん出てくる。

 映画は、パオという少女の成長を描いたもの。事情があって生みの母と育ての母がいる。その母2人は一緒に暮らしているが、産みの母は町に働きに出かけたまにしか帰ってこないから、パオは育ての母になついている。でも、育ての母にも秘密があった・・・。

 次男は、なんで母親が二人いるのかなかなか理解できない。それでも、パオの美しさにはひかれたようだ。この映画は実話だそうで、最後に現在の本物のパオが出てくるのだけど、そのたくましいおばさん姿に次男はのけぞって、「あれがパオ」とうなだれた。

 パオが生みの母を探しに行く旅では、私は悪い男が出てきてパオをだまして売り飛ばしてしまうのではと、ハラハラした。もちろんそんなストーリーではないのだけど、12月に人身売買のレポートを発表したので、人身売買の資料ばかり読んでいたせいなのだ。

 たとえば、「私がタイで見た現実」  http://www.imageforum.co.jp/pao/  に、モン族のことが触れられている。モン族はベトナムやミャンマー、タイ北部の山岳地帯に住む人々で、映画では貧しいという印象はなかったが、貧困地帯でもあり、人身売買の供給地になっている。また、北部の少女の容姿が日本人男性に好まれるという話はよく聞く。

 そんな訳で映画を観ていてもハラハラしていた。無事に家に帰れて良かった。

 人身売買については、あまりに大きく、あまりに頭に来ていたので、ブログに書けませんでした。その昔、アジアへの売春ツァーが問題になりましたが、現在も日本は人身売買の最大の受け入れ国であり、アジアの売春産業のお得意様なのです。これについては、またあらためて書きます。

 IOM 国際移住機関  http://iomjapan.org/index.cfm

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2007年11月26日 (月)

かもめ食堂

 夏休みの図書館で、片桐はいり著の『わたしのマトカ』を読んで、旅に出たいと身もだえたのだった。内容は、『かもめ食堂』の撮影のため滞在していたフィンランドでの出来事を綴った初エッセイ。それでは『かもめ食堂』もぜひ観ないといけないと思っていたのが、やっと観ることができた。

わたしのマトカ Book わたしのマトカ

著者:片桐 はいり
販売元:幻冬舎
Amazon.co.jpで詳細を確認する

かもめ食堂

 フィンランドについて私が知っているのは、「マリメッコ」ぐらいだ。昔むかし大学生の頃、アパートの近くのインテリアのお店でアルバイトをした。店は映画の仕事をしていたけど、辞めて実家に帰ってきている女性がしきっていて、店長は彼女の弟さんだった。私と彼女でディスプレイなど考えて変えるのが楽しかった。そのとき「マリメッコ」を知り、憧れた(学生には買えないお値段だった)。大胆な柄とカラフルな色遣い。クリスマスに店長が「マリメッコ」のバスタオルをお姉さんと私にプレゼントしてくれた。人生の中でもうれしいプレゼントベスト3に入っている。今でもそれを持っている。色はだいぶあせてしまったが、捨てられない。それから結婚した時もお布団のカバーは「マリメッコ」に統一したし、紙ナプキンも好きで集めた。

 映画はたんたんとして良かった。役者のおかげで退屈しないのだ。小林聡美と片桐はいり、もたいまさこ。『やっぱり猫が好き』が好き以来、小林聡美ともたいまさこのファンだ。冬休みは『やっぱり猫が好き』のDVDを借りて息子たちに見せなくちゃ。名作だものね。

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